2017年6月15日木曜日

人のお役に立つということ

以前入手した論文が行方不明になってしまって,あちこち探しまわっていたときに,僕が学習塾の教師をやっていた時代(心理臨床の世界に入る前)に関わりのあったある生徒さんからいただいたお手紙が偶然出てきて,それを読み返していて,とても感慨深い気持ちになりました。

そこで感じたのは,僕の原点は臨床心理学ではなくて,「人のお役に立ちたい」という気持ちなんだということ。

「パーソン・センタード・セラピーをやりたい」とか「臨床心理士としての専門性」だとか,そういうのは本当にどうでもよくて,僕がやりたいことは理論を実現することではなく,目の前の人のお役に立つこと。

だから,いつも実践が先にあって,それを説明するために理論を当てはめる,というのがいつもの僕のやり方。うまく言葉にできないし,美しくもないし,不格好だけど,まあ対人援助職なんてみんなそんなもんだろう。

自分の原点を忘れるな。理論の信者になるな。目の前の人を見ろ。

大学の世界にいると美しい理論に目を奪われがちだけど,このような自分の原点を見失ってはいけないな,と痛感させられて,自分の中に電撃が走った,そんなお手紙でした。あの生徒さん,お元気かなあ。お元気だったらいいなあ。

もちろん自分にとって「人のお役に立つ」とはどういうことなのかという問いはすごく大切で,それをうまく人に説明できないといけないんですけどね。