2016年3月24日木曜日

Google Compute EngineでRStudio Serverを動かす

RStanで3日以上かかる分析をしておられる小杉先生のご要望(?)にお応えして,IaaSの一種であるGoogle Compute EngineでRStudio Serverを動かしてみました。

前準備

アカウントをセットアップし,[VMインスタンス]から[インスタンスを作成]に入ります。[マシンタイプ]がバグってるっぽいので[カスタマイズ]をクリックし,コア数とメモリをキーボードから入力します。私は[コア数]を8 vCPU,メモリを16GBにしました。
[ブートディスク]の[変更]をクリックし,[事前設定されたイメージ]から[Ubuntu 14.04 LTS]を選択しました。デフォルトのままDebianでもよいのでしょうけど,Ubuntuが一番慣れているので。あとはそのままにしておいて,[作成]をクリックします。
左上のハンバーガーメニュー([三])をクリックし,[ネットワーキング]→[ファイアウォール ルール]をクリック。[ファイアウォール ルールを作成]をクリックし,次のように入力して[作成]をクリックします:
  • [名前] -> rstudio
  • [ソース IP 範囲] -> 0.0.0.0/0
  • [許可対象プロトコルとポート] -> tcp:8787
ハンバーガーメニュー([三])から[Compute Engine]に戻りましょう。先ほど作成したインスタンスがすでに起動していると思うので,[接続]列の[SSH]をクリックします。ブラウザー上でサーバーにログインできます。

最新のRをインストール

CRANから最新のRをインストールします。まずsources.listを編集します。最初の$マークは入力しません。
$ sudo nano /etc/apt/sources.list
一番最後の行に,次のように入力します:
deb http://cran.ism.ac.jp/bin/linux/ubuntu trusty/
[Ctrl]+[O]で保存し,[Ctrl]+[X]で終了します。そして次のように入力してRをインストールします。
$ sudo apt-key adv --keyserver keyserver.ubuntu.com --recv-keys E084DAB9 
$ sudo apt-get update && sudo apt-get install r-base

RStudio Serverをインストール

RStudio Serverのページにしたがって,64bit版のRStudio Serverをインストールします。2016年3月24日現在では次のように入力します:
$ sudo apt-get install gdebi-core
$ wget https://download2.rstudio.org/rstudio-server-0.99.893-amd64.deb
$ sudo gdebi rstudio-server-0.99.893-amd64.deb
“Do you want to install the software package? [y/N]:”と尋ねられますので[y]を入力し,[Enter]を押します。

アカウントを作成する

RStudio Serverで使用するアカウントを作成しておきましょう。
$ sudo adduser rstudio
パスワードの入力を2回求められます。パスワードの文字列は表示されません。その他,[Full Name]や[Room Number]などを求められますが,何も入力しないまま[Enter]キーを押していって構いません。
以上でRStudio Serverを使う準備が整いました。

RStudio Serverにアクセスする

ブラウザーに戻り,[外部 IP]列のIPアドレスのリンクを右クリックして[リンクのアドレスをコピー]しましょう。新しいタブまたはウィンドウを開いてアドレスバーに貼り付け,末尾に”:8787”をつけて[Enter]キーを叩きます。
URLの入力
次のようなログイン画面が表示されたら,先ほど作成したアカウントの情報でログインします。
RStudio Serverへのログイン画面

Have fun!

あとはデスクトップ版のRStudioと使い方は同じです。このスペックだと,RStanがけっこうな速度で動作するようです。
CPUがたくさん計算してtopの出力とか眺めるの楽しい!!✌(‘ω’✌ )三✌(‘ω’)✌三( ✌’ω’)✌

2016年3月9日水曜日

パーソン・センタード・アプローチとスーパービジョン

押江隆(2015). パーソン・センタード・アプローチとスーパービジョン 山口大学大学院教育学研究科附属臨床心理センター紀要, 6, 27-34.(ダウンロード
続けてもう1本。スーパービジョンについての論文です。このブログ記事は実はこの論文が下敷きになっていたりします。
私みたいな若輩者がスーパービジョンについて論文を書くとかどうなのよ,という気もしましたけど,思い切って書いちゃいました。特にケースについては,正解の関わり方なんてないと思うんですよねえ。

コミュニティプレイセラピー: コミュニティ・アプローチによる新しいプレイセラピー

押江隆・足立芙美・三浦啓子・水戸部準(2015). コミュニティプレイセラピー── コミュニティ・アプローチによる新しいプレイセラピー 山口大学大学院教育学研究科附属臨床心理センター紀要, 6, 3-10.(ダウンロード
実は去年の3月には書き上げていたのですが,わけあってずいぶん時間が経ってしまいました。ようやくだぜ……。
「コミュニティプレイセラピー」という術語でよいのかどうか,すごく悩むところです。必ずしも治療を目指しているわけではないので,therapeuticな場ではあるけど,therapyと呼んでいいのかどうかとか,そもそもtherapyって何なのよ,とか,いろいろ考えてしまいます。しかし「コミュニティプレイ」だと意味がよくわからないですしね……。
最近オープン・ダイアローグの上映会をやりましたけど, オープン・ダイアローグでも「対話は手段ではない。 それ自体が目的である。 治癒は副産物としてやってくる」と考えるんですよね。そういう意味でも「オープン・ダイアローグ」という術語はよく考えられているなと思います。その他にも,地域のネットワークリソースを活かしたりだとか,専門家の立ち位置が従来の治療論と異なったりだとか,コミュニティプレイセラピーといろいろと似ているなあと思いました。かなり勇気づけられましたね。

2016年3月5日土曜日

教えることについての私論

私は大学教員ですが,もともとは塾で働いていました。アルバイトで個人指導の塾の先生として働き始めたのは大学1年生の頃です。先生になりたての頃,私の授業を観察していた教室長に言われた言葉がいまも忘れられません。
押江くんは,子どもに向かって大人の言葉を話している。子どもの言葉を勉強して,子どもの言葉を話せるようになりなさい。
私は「自分を責めやすく,気分が落ち込みやすいくせに負けず嫌い」という厄介な性格を持っていて,そのときも猛烈に気分が落ち込み,悔しくて悔しくて仕方がなかったのをよく覚えています。自分を責めるだけ責める時間が過ぎ去ったあと,子どもの言葉とはどういうものなのか,それをどのように話せばよいのか,若いながらにずいぶん考えました。このときの体験は,いま思うと貴重なものです。
いまなら教室長が言わんとしていたことを,ある程度理解できるような気がします。私にとって教えることは,その人に見えている世界を理解しようとすることです。
私にとって教えるということは,知識量の多い人が,知識量の少ない人にその差分を与えていくことではありません。 そもそも「唯一無二の正しい真理」なんて存在しません。とうの昔に神は死んだし,唯一の現実は存在しないのです。
したがって,その人に見えている世界を理解しようとすることが,教えることの第一歩だということになります。「できない」人に「正しい答え」を教えることは,しばしば害になると私は考えています。その「正しい答え」は教える側にとっての正しい答えであって,教えられる側に見えている世界にはそぐわないかもしれないからです。
たとえば2次関数の問題を解いているある中学3年生の生徒が間違った答えを導き,教師が「正しい答えの導き方」を提示して,この通りやってみてと伝えても,やはり間違ってしまったとします。「知識量の多い人が,知識量の少ない人にその差分を与える」アプローチをとる教師だと,あとはこう伝えるしかなくなってしまいます。「このとおりやるだけなのに,どうしてできないんだ。意味がわからない」,「私の言ったとおりにやればできる。あとはやる気の問題だ」,「覚えようという気がないからできないんだ」
しかしこの生徒さん,解いている様子をよくよく観察していると,かけ算が苦手で,そもそも九九をきちんと覚えていないということがわかってきました。この生徒さんにとっては「正しいこと」をやっているのです。2次関数を教えるということ自体がすでに間違っているのです。
高校までの勉強には「正解」がありました。ところが大学に入ると事態はますます複雑になります。高校までは,教科書に書いてあることが正解だとされました。高校までの先生は,どの先生も同じことを言っていました。ところが大学の先生は,人によって言うことが違います。先生同士の言っていることが矛盾していたり,果ては教員同士がケンカしだしたりします。そんな様子を眺めながら,大学生は,どうやら高校までに「唯一無二の正解」だと思ってきたことが,誰か特定の人間にとっての正解に過ぎないのだということがわかってきます。
そして学生は卒業論文で,他の誰でもない,自分自身にとって「正しいと思うこと」を言えと求めれます。
特に卒業論文の指導において,教員に求められるアクションは,その学生に見えている世界を理解しようとすることだと私は考えます。その学生に何が見えているのかを理解しようとし,それが人に伝わるかたちになるようお手伝いすることが,私にとっては教えることです。教員はわかろうと努め,学生はわかってもらおうと努力することで,だんだんかたちになっていきます。
私にとっては,大学教員が「君が何を言っているのかわからない」とか「君の考え方は間違っている」と言った時点で負けなのです(これは,私がなんでもわかるという意味でも,「わからない」と言ったことがないという意味でもありません。わからないことはたくさんありますし,「わからない」と言ってしまったことはあります。しかし,わからないのは私の勉強不足によるものですし,「わからない」と伝えることは私にとって負けなのです。また,もちろん学生さんにも「わかってもらおう」とする姿勢が求められると思います)。
私の考えでは,あらゆる援助論は転換を求められています。「知識量の多い人が,知識量の少ない人にその差分を与える」アプローチは限界を迎えています。昔はきっとそれでよかったのです。社会はもっと単純で,自分のやりたい仕事を選ばなくても親の仕事を継げばそれでよかったですし,視聴率が50%を超えたこともある『8時だョ!全員集合』さえ見ておけば話題にはついていけました。唯一無二の正解(らしきもの)が信じられてきた時代には,それでよかったのです。しかしいま,私たちが生活している世界は,一人ひとりずいぶん異なるらしいことがわかってきたのです。
この奨学金の返還免除に関する質問とその回答は,古いアプローチによって起こった“事故”の典型例だと私は思います。ずいぶん手厳しいことが書かれていますが,奨学金を申請する事情は,世の中がどんどん貧しくなっていっているいま,ずいぶん変わってきています。また,こういう疑問はたいてい学生同士で話し合って解決するものだと思いますが,Yahoo! 知恵袋で質問するということは,学生同士の人間関係がうまくいっていないとか,研究室の雰囲気がよくないとか,いろいろな事情があるかもしれません。それを理解しようともせず,自分の言っていることがあたかも唯一無二の正解であるかのように伝えることは,傷つき体験しか産まないのではないでしょうか。
もはや「自分の体験と相手の体験の差分をとって,パッチをあてる」アプローチは通用しません。そのパッチは,あたらないのです。一人ひとりが,あまりにも異なるからです。
時代にあわせるように,新しい援助論が次々と生まれてきています。変化を生み出す主体は専門家ではなくクライアント自身であるとするパーソン・センタード・セラピーしかり,専門家がクライアントに観察されるリフレクティング・プロセスしかり,最近のトピックでいうと専門家と当事者,家族などとの協働を目指すオープン・ダイアローグしかり。おそらく教育についても同様で,私たちはアプローチの転換を求められているのです。

2016年3月2日水曜日

自動車学校に通い始めた

ずっと自転車通勤を続けてきましたが,仕事の幅が広がってきて遠出することが増えてきたこともあり,観念して自動車学校に通い始めました。時々仕事で行くことになる山口県セミナーパークとか,駅から30分歩かないと辿りつけないんですよね。電車やバスの本数も少ないですし。
子どもの頃から車に乗る生活をしてこなかったせいか,車にはさっぱり興味がありません。「あの車はかっこいい」とか「かわいい」とか意味がわかりません。ましてや「あの車はいい顔してる」とかも。ただの乗り物じゃん!
基本的に不器用なので, 心配はしていたのですが,案の定うまく運転できません。というか,カーブすらまともに曲がれません。大丈夫なのかな。みんなに「要は慣れだよ」と言われますが,ほんとかなあって思います。私の不器用さを甘くみちゃいけねえ!
できれば一生自動車になんか乗りたくなかったのですが……,仕方がないですね。ものすごくハードル高く感じるなあ。
まあでも,この歳になって新しいことを始めるコツは,卑屈にならないことだ,ということは,自動車学校に通い始めてから学びました。こんな記事書いてる時点で卑屈ですけど。なんとか前向きにがんばりたいところですねえ。

2016年3月1日火曜日

Revesun HDMI 変換 DVI 音声 アダプター(追記あり)


HDMI -> VGA+Audio変換器を使っていましたが,音飛びがあったっぽいのでこちらを買いました。HDMI切替器さえちゃんと動けばこんな出費はいらんかったんやで……。音飛びはいまのところありません。

やっぱり左右の音が逆転します。HDMI直挿しでも発生するのかしら。めんどくさいので原因は追跡していません。PulseAudioの設定で回避しています。workaroundじゃのう。

VGA+Audio変換器はたくさんありますけど,DVI+Audio変換器はめずらしいみたいですね。ご参考までに。ってほとんど在庫ないですけど……。

(2016/03/03追記)
その後,PCの電源が切れてもディスプレイの電源がオフにならないことに気づきました。この変換器,外部電源から常に通電しているので,シグナルが出続けているんですな。電気代がもったいないので,残念ながらお蔵入りとし,HDMIの手動切り替えとしました。ダサい……。3000円が無駄になったよー!