- 不登校・発達障害児支援グループ かすたネット
- 不登校や発達障害などにより「学校に困難を感じている子ども」に居場所を提供する,大阪府茨木市のフリースペースです
- ほたるネット
- 不登校や発達障害などにより「学校に困難を感じている子ども」に居場所を提供する,山口県山口市のフリースペースです
- 関西働き方研究所
- 「働くこと」に関する不安や悩みを,地域のメンバーの知恵を集めて「研究」する,兵庫県西宮市の「働く人のための相談グループ」です
- HOTちゃぶ
- 「自分の性格について考えたい」,「バイト先の人間関係が難しい」,「自分の将来について考えたい」,「グチを吐きたい」,「人とゆっくり話がしたい」、「自分の気持ちを整理したい」など,いろいろなことをみんなで話し合う,お茶会みたいなグループです
最近しばしば感じるのは,私自身が「ボランティア」という言葉で言い表そうとする意味と,世間一般のイメージが,かけ離れているということです。 巷のイメージではボランティア活動は,とてもまじめというか,「滅私奉公」の精神で行うものと位置づけられているように感じます。しかし,私にとってボランティア活動はそのようなものではありません。
かすたネット/ほたるネットでは子どもさんに居場所を提供する活動をしているわけですが,私はスタッフさんにもできる限り自由に過ごしてもらいたいと考えています。スタッフさんが一人で本を読んだり,落書きをしたりするのも自由です。スタッフさんが「援助者」として振る舞うよりは,好き勝手自由に過ごせていたほうが,かえって子どもさんにとっても援助的であることを,私はこれまでの体験や調査から見出してきました。
以前かすたネットでは,経営状態が行き詰まって収入をどこから得るかを話し合ったときに,スタッフさんから「自分たちも参加費を払えばいい」という声が出て,仰天したことをよく覚えています。スタッフさんの話をよくよく聞いていると,どうやらかすたネットはスタッフさんにとっても居場所になっているとのことらしいのです。
スタッフさんのインタビュー調査をしてみると,「子どもに遊んでもらっている」というような声がたくさん聞かれました。私の見る限り,かすたネットもほたるネットもスタッフさんたちはとてもいい仕事をしてくれているのですが,スタッフさんから見たかすたネットでの活動は「スタッフとして援助している」というよりは,「子どもを楽しませているというだけでなく,自分自身も楽しんでいる」というような体験なのです。
同様の体験は私自身もしていて,いま私は山口に住んでますけど,もともと私は関西の出身で,関西に帰る場所がもうないんですね。でも,引越し後に用事があって関西に行ったついでにかすたネットに参加させていただいたとき,みんながとても暖かく受け入れてくれて,「自分には帰ることのできる場所があった」と感じてとても嬉しかったのをよく覚えています。私自身,かすたネットにすごく救われているわけです。こんなありがたいことはないと思います。
最近でも,スタッフさんからは「この活動はボランティアっぽくない」,「この活動は自分自身も自由に過ごして楽しむわけだからボランティアではない」という声すら聞かれます。しかし,"volunteer"という単語の意味は単に「自発的な活動」であるわけですから,「自由に過ごせる」から,「自分も楽しめるから」という理由で「ボランティアではない」と位置づけるのは,私の考えでは間違っています。まじめなものだけが,滅私奉公するものだけがボランティアではないです。
私は,ボランティア団体を運営する人は,常に「搾取」の問題に敏感であるべきだと思っています。
「ボランティアはただで使える都合のよい存在」ではありません
— たかし (@oshie) 2013, 11月 16
ボランティア活動においても,参加してくださる方にとって何らかの報酬があるべきです。もし可能なら,ボランティアの方にはお金が支払われるべきです。それが最も効率的な報酬だからです。しかし,経済的な事情等から,必ずしもお金が支払われるわけではないですし,必ずしもお金にならないからこそのボランティア活動であることも多いです。そこで,お金に代わる報酬がボランティア活動には求められると考えています。一切の報酬が提供できなければ,それはすでに搾取です。繰り返しますが,「ボランティアはただで使える都合のよい存在」では決してありません。かすたネットやほたるネットは無償のボランティア活動ですが,これまでの調査の結果から,スタッフさんにはお金の代わりに「子どもだけでなくスタッフさんにとっても居場所になっている」という報酬を提供できていると考えています。ただし,「かすたネット/ほたるネットがスタッフさんにとっても居場所になっている」というのは,運営側,つまり私の思い込みかもしれません。「搾取」の構造になっていないかどうか,運営側が常に意識しておく必要があると思っています。
またボランティアは「自発的な協力者」であるわけですから,決して活動が強制されてはいけません。負担もできることなら大きくない方がよいです。それぞれの力が少しずつ重なりあうことで,大きなことが可能になるような仕組み作りが,ボランティアを組織する上では必要不可欠だと考えます。もし何らかのかたちで活動を強制されるのであれば,その方にはお金が支払われるべきです。
以上の点で,かすたネット/ほたるネットの,「スタッフ各自が自由に過ごすことが,子どもさんにとってもお役に立つ」という組織のあり方は,理想的なボランティア団体のあり方として結構いい線いっていると自負しているのですが,いかがでしょうか。
かすたネットやほたるネットでは子どもさんだけでなくスタッフさんも可能な限り自由に過ごしてほしい,自分がしたいことをしてほしいと考えている理由の1つはこのようなことなのです。 こういうボランティアのあり方もあるのだというのをわかってほしいです。